対談 紙について話そう。-1



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編集者とアートディレクターという、
自分を通して表現を紙へと落とし込む仕事を
日頃から手がけているおふたり。
普段どのように紙に触れているかを語り合いました。


※PAPER'Sをご覧になった方は続きからどうぞ。



後藤:森本さんの仕事は、広告や出版物を中心に広がっているでしょう?でも作ったものにちゃんと質感が備わっているところが僕は好きなんですね。 例えば紙を、森本さんは素材として捉えてるんじゃないかなあと思うんです。 普通は紙見本から選ぶと思うんだけど、旅先で買ったものとか、包み紙とか、いろんなものをサンプルにしてて「この感じがいいのよね」「この分厚さがいい」とか、そういう感覚が根底にあるよね。

森本:うん、そうですね。 紙見本で指定することはあまりないかもしれない。私、古い地図が好きで集めてるんです。 「この匂いがいい」とか。 現物の地図を印刷会社に渡してしまうこともある。

視覚は、触覚の中のひとつ。


後藤:僕は学生時代に印刷屋でアルバイトをしているうちに編集者になりました。 普通は文学とか情報とか、本の中身が好きでなるのかもしんないけど。 元々はただ紙が好きなんですよ。 本は質感があって成立していると僕は思う。 この小説はこの雰囲気、この佇まいでないとイヤだなってあるよね。

森本:確かに。 好きな紙の本って、読み終わるのが早いんですよ。 体を通して理解していくというか。


6u0e0022後藤:デザインって、視覚的なものだと思われてるけど、触覚というものがあって、その一部に視覚があるんだもんね。 そう考えるほうが素敵じゃないかなあ。


森本:色気があっていいですね(笑)。紙質とは違うんだけど、デザインをする時にどうしても満足できなくて、全部出力して切り貼りをして、物体としてCDジャケットや本を360°回してみないと作れない時がある。

後藤:僕も写真集を作る時にはそうするよ。 まず出力するじゃない?床に並べて選んだら、自分では100万回テストって呼んでるんだけど、膝に挟んで丁合いをして、ペラペラと100万回くらい目を通す。 それをやらない限り編集なんてできないわけ。

森本:若いデザイナーの中には、トンボ付きの画面で初めから決めにかかってる人がいると思うんだけど。 画面上のスクロールじゃわからないですよね。

後藤:うん、もちろん!例えば写真集をめくる時、目線はまずは左ページに向けられて右へと流れていくんだから。そういうふうに編集しなきゃ上手くできない。


6u0e0013森本:ものとして触れないとデザインはできない。紙の風合いとか、香りによってデザインが動かされるというか。


後藤:調理みたいなものだよね。 仕入れたものがあって、それを混ぜて食う。 今はITとか情報とかを組み合わせていけばクリエイティブなものが生まれるような気がしてしまうけど、力を発揮するには質感とか、具体的なものを知ってないとできないと思うね。

森本:うん。 何かしら摩擦みたいなものがないとデザインが生みにくいですね。

後藤:力をつくる上で素材をよく知る。 紙見本だけで紙を知るっていうのはなかなか難しいと思うから、世の中にあるもので知っていくことも大事だと思う。

森本:時々、紙見本として出したものが「それ紙じゃないですよ」って言われることもありますけど(笑)。




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