対談 紙について話そう。  「肌理(きめ)」について-1



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ジャンルを超えたふたりが、屋根も垣根も超えて話し合います。
今回は、アートディレクターと建築家が「肌理(きめ)」について。

※PAPER'Sをご覧になった方は続きからどうぞ



原田:僕にとって紙はドローイングする対象だったり、建築をスタディーするときには、カッターでシャキシャキ切りながら、立体モデルをつくって、それから平面に落とすための素材。植原さんのつくっているものは、なんか高さがあるんですよね。僕の場合は建築だから、XYZでいつも図面を描いているんだけど、グラフィックって普通は平面を描くじゃないですか。つまり記号を描いているわけなんだけど、植原さんはXYだけ描いているわけじゃなくて、なんかというか、極薄のZがあるように思う。そのZがすごくおもしろくて、初めて作品を見せてもらったとき地形とか都市をみているような感覚がありましたね。ちょっと平面から飛び出ているような、平面の世界だけに住んでいない人なんだなあ、と思いましたね。

植原:確かに、レイヤー的って言われたことがありますけどね。昔、大学の頃、テキスタイルの原画を描くのにスポンジでたたいてみたり、金を縫ってみたり、絵的に厚みを出すみたいなことをやっていたこともあったので、その流れもあるのかな。


原田:肌理ってありますよね。紙って見ると同時に触っているでしょう。ここにも深さというかZ方向の情報、触覚でも情報が入ってくるから、微視的に言って、ここにも地形があるんですよ、きっと。僕はいつも肌理ということを考えて建築をつくっているから、植原さんの仕事に惹かれるところがあるのかな、と思うんですよね。


レイドが好きですね。
あの四角が、たまらなく。



Taidan_002植原:グラフィックデザイナーって伝わればいいみたいなところがあって、伝わるにもスピード・コミュニケーションみたいなのもあるんです。広告ってそうでしょう。紙に興味が足りない人も意外といて、そこが僕とは違うところですね。僕は人に直接送るDMとかが多いから、触って開くみたいな質感を組み込むというのが必要なので、肌理を大事にしてる。


原田:全く同じことが建築にもあるな。グラフィックは意味を伝えて、同じ意味が頭の中で再構成されやすいようにという、スピード・コミュニケーションってそういうものだと思うんだけど、そのときにテクスチャーが邪魔になるんでしょうね。情報の余分な重さみたいな。


植原:そうそう、なんかね、ひっかかってはいけないみたいな。


原田:建築も全く同じで、ある意味としての空間を伝えたいとかというところもあって、つまり現代建築にとってはメッセージのほうが重要だったりもするから、それを伝えるにあたって、肌理なんかがあると情報が重たくなって、メッセージがピュアでなくなるというような流れもあるんですよ。僕もそれが寂しいなと思っていて。建築はメッセージでもあるけれど、住んで接するものだから、環境に重きをおくならば、肌理を捨てるわけにはいかないよね、というところがあってね。


植原:難しいよね。これが「好き」みたいな。「好き」という感情をどこに入れるかということがありますよね。そのためには、すごく削ぎ落としていった場合、質感でしか自分の好みを出せないというところはある。僕は質感が好きなんですよね、しなりとかシワとか。



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