対談 紙について話そう。 「表現と素材」-2
もう1回つくればいい。
菊地:このペーパークラフトのカマキリ(※)はすごい惹かれますね。これは、かなりいい。この展開図もなかなか描けないですよね。おもしろいなあ。
高野:ペーパークラフトは月に1回、地元の敬老会で工作サークルをやっているんです。カマキリは確か、細長い紙を3回折ると昆虫らしきものができそうだと思って始めました。色のついた厚紙でつくったんだけど、カッターで切ったときの断面が白いとちょっとがっかりするんですよね。
菊地:ああ、わかります。中まで全部色の紙じゃないとね。あるいは合紙して、両面別色にするとか、あとは中に入っている紙だけ違う色にしたりすると、エッジに色がピーッと出てきれいかもしれない。設計するのがすっごい難しそうですけど(笑)。
—こういうペーパークラフトは、どこから発想されたんですか?
高野:どうだったかな、なにしろ漫画に飽きてたときに(笑)、椅子の背にもたれて机の上の原稿見たら、遠くの四角が小さくて近くの四角が大きく見えた。それで近くに小さな絵を、遠くに大きな絵を描いて、切り込みを入れて指で起こして、片目つむって見たら、あら、遠いのも近いのも同じ大きさに見えるじゃない、なんてことをして遊んでたんですよ。
菊地:遠近法に気付いた、と(笑)。
高野:そうなんです。それをデジカメで撮ったんです。
菊地:高野さんから3年ぐらい前に「最近切り紙にはまってます」っていう年賀状をいただいたとき、「どうなることやら」と思った記憶があったんです(笑)。その年賀状は折り紙や千代紙を切って、コラージュしたものだったんですけど。だから『火打ち箱』が出たときには「あ、こんなところに来た!」と思いましたね。
高野:紙の良さって「しょせんは紙だ」って思えるとこだと思う。敬老会でもできた工作は持ち帰ってもらうんだけど、つくった当人がため息ついたりしてて、家に着いたらすぐゴミ箱だなって想像できることが多いの。それが布でこさえたもんだったりすると、ゴミ箱にある図が悲しいわけよ。でも紙なら悲しくない。紙が安いとは限らないんだけど、「どうせ紙じゃん、またつくればいいじゃん」って、捨てた当人が気を取り直せる気がするんですよ。自分が漫画描いてるときもよくそうしてたんで(笑)。そこが紙のいいところですよね。
| ※高野文子さんのカマキリのペーパークラフト展開図(PDF)はこちらからダウンロードできます。 お好きな紙に出力して作ってみてください。 | |
| 『月刊COMIC リュウ』掲載 |


